98年 夏の仏壇お磨き日記   

 私はお母屋の床の間が好きです。40数年前,ここで生まれたそうですし,結婚式もこの間であげました。ここには祖父が買ったお仏壇があり,お正月前とお盆前に家族でお磨きをします。長らく父の仕事だったのですが,15-6年前からは私が後を継いでいます。
 
 子どもたちも成長したここ数年はみんなでお磨きをします。今年は8月12日。子どもたち二人といっしょに頑張った様子をご覧下さい。まず,新聞紙を数枚広げ,その上に真鍮製の仏具を全部取り出して並べます。いろいろ数えてみると45−46点になります。
   
 次に,チューブに入った練り薬を写真のように仏具に適量とり,こするようにして,ビニール手袋をつけた手で引き伸ばします。数分そのままにしておけば薬と反応して軽く拭き取るだけでかなりキレイになります。

 しかし,やはりピカピカにしておきたいので力一杯タオルで磨き上げます。50点近い金属の固まりをキレイに磨くためには5〜6本のタオルが必要です。
   
 薬を引き伸ばすときはビニール手袋が重宝です。練り薬品が手に付くとまずいかなと思います。でも磨き始めると軍手がありがたいです。かなりの力でゴシゴシやるのでだいぶ汗をかきます。ビニール手袋だと手がベチャベチャになってしまいます。綿で編まれた軍手は風通しが良いのです。

 右の写真は2度目の磨きをかけているところです。タオルは金属の汚れと錆で真っ黒になります。
   
 子どもたちにはよちよち歩きの小さい頃から手伝いをさせています。トムソーヤの冒険ではありませんが,イヤイヤやってると誰も手伝ってくれませんが,生き生きと積極的に取り組んで,相手が興味をもってるな,と思えば「これは難しすぎておまえたちには無理だよ」とうまく突き放してやると「させてほしい!」と頼まれることになります。

 人生この生き方!考え方で白でも黒,マイナスでも大きなプラスに持って行けるものですね。
   
 写真が小さくて良くお分かり頂けないかもしれませんが向って右が薬を塗って数分後,錆や汚れと反応して,真っ白な練り薬がすこし緑色に変色しています。左はそれを磨いたものです。鶴もカメも一対でろうそくを灯す土台の役目をしています。羽根とか甲良の細工が凝っているのでなかなかうまく磨けません。古くなった歯ブラシで溝を掃除するのがいいかもしれません。    
 仏壇には,金属製の仏具と,木製の欄間や寺社を模したミニチュアの屋根が納められています。それぞれは黒い漆と金箔処理が施してあるので濡れタオルで拭こうものならせっかくの輝きが吹き飛んでしまいます。

 そこで習字の筆を五本ほど束ねそれでなでるように掃除するのです。出たほこりは掃除機で吸い取ります。
   
 さて,一人でやると1時間以上かかっていましたが二人のお陰で40分ほどで一通りの作業が終了します。

 右の写真は磨きあがった仏具を新聞紙の上に広げているところです。ずいぶんキレイです。

 今年は試しに子どもたちにひとつひとつ戻させました。仏具がどこにどのように配置されているかはなかなか記憶できません。あーでもない,こーでもないと相談しながら,それでも何とか収まりました。
   
1時間後。おかげさまで今年も無事ご先祖を迎える準備が整いました。メデタシ,メデタシ。